Randy Hernandez
Vice President, Strategy
2019年9月17日

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今日、消費者が多くのブランドとつながりを持っていることは周知のことである。米国の消費者が会員になっているロイヤリティプログラムの数は全体で38億以上に上ると推定される1。Radicati社の予測によれば、世界全体の1日あたりのEメール量は2018年には1111億に達する2。プログラム入会の数が世帯平均19~29で、そのうちアクティブなのは5~12のみという競争が激化している状況下で、自社のプログラムの存在感をアピールするにはどうしたらいいか?

リラックス。それほど骨の折れる課題でもない。まず初めに、顧客を惹きつけてそれでいてわかりやすい価値を提供する必要がある。これについては、ブライアリーが提案する、「プログラムを成功に導く基本原則」に記載がある。
提供価値は分かりやすく、かつ顧客が割いた労力に見合う対価をもたらしてくれるものとすべき、というものである。

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いかにプログラムがよく設計されていて素晴らしいものであろうとも、入会してもらうことがプログラムの成功には不可欠である。そのためには、次に示す顧客獲得の基本3原則にフォーカスする必要がある

#1 KISS (Keep it Simple): シンプルかつ簡単

入会プロセスをシンプルにする: 入会プロセスはシンプルにして、新規会員は、必要最低限の情報を入力すればプログラムに参加できるものとする。少しでもでも面倒だと感じれば顧客は入会をやめてしまう。マーケティング担当者は、顧客にあれもこれも入力させたいと言う衝動を抑えつつ、顧客との関係が始まるタイミングにおいては、入力プロセスはシンプルであればシンプルであるほど良いといった考えを徹底する。

入会までのステップが1ステップになるようにする: 顧客の重要情報取得と入会手続きを同一のトランザクション内で行う。店員が基本情報を取得して後で顧客がオンラインで入会を完了するといったように入会までに2段階を要するようであるならば、入会完了したらインセンティブを受け取れるようにする。それにより入会完了を促進する。

必要な情報のみ求める: 最近では誰もがデータプライバシーに敏感になっている。情報は会員を識別してパーソナライズ化(会員ごとに異なるエクスペリンスを提供)するのに必要であるものだけにとどめる。アンケート、聞き取り調査を実施してインサイト(会員の詳細情報)を収集する機会はこの先にもある。米Express社が展開するExpress NEXT®のような優れたプログラムでは、アンケートを完了および簡単なアンケートに回答した会員に報酬としてポイントなどのインセンティブを進呈している。会員に対して今以上の情報を求めるのであれば、その情報が必要な理由およびその使用目的(例:ギフト送付のため誕生日の情報が必要)を伝えることだ。

貴社のビジネスに合わせてアプローチを調整する: 会員に提供依頼する情報はすべてのチャネルにわたって同一とすべきだが、顧客体験に関してはエントリーポイントに合わせて調整する必要がある。多くの店舗を保有するが、オンライン・モバイルからの顧客アクセスは今一つ、というような小売店では、入会獲得の90%は店頭におけるものであるかもしれない。その場合、店側は従業員のトレーニングと店頭での宣伝に力を入れるかもしれない。ドライブスルーでトランザクションが多く発生するスピード重視のファーストフード店では、従業員の負荷軽減、および待ち時間の緩和にキオスク端末とモバイルアプリを活用するかもしれない。

#2: 複数チャネルにわたってプログラムをアプローチ

会員の状況に合わせて複数のチャネルにわたりアプローチするプログラムでは、効果的に顧客の利便性を高めてエモーショナルなロイヤリティを増進することができる。業界随一のプログラムは、主要な各顧客接点にわたってプログラムの認知度を最大限に高めて、プログラム入会の機会を最大化する。

店頭: 顧客とのインタラクション(=やりとり)における重要ポイントにおいてプログラムが店頭で効果的に宣伝されていることを確認する。特に顧客対応する従業員はこれを徹底する。

オンライン: サイトのトップページに特典プログラムを掲載すること、そして顧客に最大限の関心を向けさせるために、できればマストヘッド上部および下フッターに掲載することを推奨する。たとえば、FOMO(Fear Of Missing Out=取り残されることへの恐れ)要素を上手く活用している好例である。

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モバイル: 携帯またはタブレットを使用すれば迅速かつ直感的に入会が行えるようになる。トップブランドであるStarbucksが展開するStarbucks Rewards®のようなプログラムでは、モバイルアプリは会員体験を案内するコンシェルジェの役割を果たしている。貴社でアプリの必要性があるかどうか確認するには、ブライアリーのブログ投稿'There's An App For That'(=それをする為のアプリがある)Grant McCloud著 を参照いただきたい。

店舗用キオスクまたはタブレット: これらのチャネルを使えば、入会手続きを簡素化しながら、プログラム自体および貴社ブランドに関する他の取り組みを宣伝することができる。Panera Bread®社では、会員の入会ならびにファストレジでの注文の奨励および従業員を接客業務から解放するのにキオスクを使用している。Chick-fil-A®では混雑している時間帯になると従業員にタブレットを持たせ、従業員はそれを使用して注文受け付けおよび新規会員登録手続きを行う。

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友達紹介: 友達や家族にプログラムを紹介した会員に対してインセンティブを進呈することを検討する。複数のチャネル(ソーシャルメディア、SMS、Eメール等)から友達紹介が行えるようし、かつ紹介が簡単に済むように紹介メッセージは自動入力にする。あとは送信を押すだけ!

#3: 店舗を最大限に活用

絶え間なく変化する店舗レベルの取り組み、従業員の入れ替わり、およびPOSの限界といった環境下でプログラムを宣伝し入会を獲得することは容易ではない。弊社が長年にわたりさまざまな業界でロイヤリティプログラムのローンチおよび最適化に取り組んできた経験に基づいたベストプラクティスをいくつか紹介する:

いたるところで目にするプログラムの案内: 販促用品および案内が適切に設計されたものでありかつ戦略的に店頭に配置されたものであれば、顧客が抱えるWHY(プログラムに参加すべき理由)およびHOW(プログラム参加方法)を明確に伝えることができる。顧客がどのようにエンゲージメントにいたるかに基づいてアプローチを調整する。たとえば、入口と出口(ドア、ウインドウ、ドライブスルー等)、販売時点(パンフレット、折り込みチラシ、レシートに印字されているメッセージ、および買い物袋)、優先カウンター(例:Hertz Gold® 車の借出 [ピックアップ] と返却に長蛇の列に並ばずに済む)、および従業員の制服とピンバッジなどが挙げられる。

従業員: 店舗でプログラム入会を促進するにあたり一番の要になるのが従業員の存在である。従業員がプログラムについて説明できない、会員をプログラムに入会させるのに手間取るようであれば、顧客もまた自分の時間を費やして付き合ったりはしない。次にいくつかの検討すべき戦略を示す:

-エレベーターピッチ: プログラム内容を簡単にすばやく理解できるようにプログラムのまとめを作成する(最大で10から20秒の長さのもの) 。
まとめは、Why join?(=参加すべき理由)、What do I get?(=参加することで得られるもの)、What do I have to spend?(=参加にあたり会員が支払うまたは負担する必要があるもの)、How do I enroll?(=入会方法)などのプログラム入会にあたり重要とされる質問に回答するものとする。

-トレーナー養成: 国レベルおよび地域レベルのリーダー達とトレーニングを行う。従業員を店舗レベルでトレーニングするために、リーダー達にはトレーニングツールを持たせる。

-周りを盛り上げて競争を促すために、会員獲得数トップの店舗と従業員を決めるコンテストの開催を検討する。

-ロイヤリティアンバサダーの任命: 上位入賞した従業員を『ロイヤリティアンバサダー』に指名する。ロイヤリティアンバサダーはプログラムの宣伝、トレーニングを担当し、かつ各種ロイヤリティ関連問い合わせの主要窓口になる。アンバサダーはロイヤリティに関するさまざまなインサイト発信を主導する。

既存会員をもてなす! 誰もが利点を感じられるウェルカムギフトは入会者を増やし、合理的な範囲内のコストでプログラム参加メリットを強化することができる。会員に対して初回割引、商品無料、または他のインセンティブを提供することにより、売上およびプログラム入会者数の増加を図ることができる。会員にはウェルカムメールでフォローアップを行う。メールの内容は会員ごとにパーソナライズし、メール本文にはプログラム参加メリットのまとめを加える。会員を初回の特典獲得に向けさせるべく、できるだけ早い段階ですぐに利用できるタイプのインセンティブを進呈することを検討する。

まとめると、消費者はどのプログラムに入会するか非常に多くの選択肢を持つ。貴社がいまやるべきことは、自社のプログラムが時間を割いて使用するに値することを消費者に納得させることである。ブライアリーが保有するプログラム入会における3つの基本理念に沿い次のことを行う。
・入会プロセスはシンプルかつわかりやすいものにする
・すべてのチャネルにわたってアプローチを行う
・店舗単位および個人単位での取り組みを最大化する。
これらを行うことで、カスタマーロイヤリティーの分野で競合他社から抜け出るための強固な基盤を築くことができる。


出所:
12017 Colloquy Loyalty Census Report
2The Radicati Group, "Email Statistics Report, 2017-2021", February 2017